2017.02.28

働き方改革の”裏の顔” 自力で未来を開拓するチカラ


安定を求める”若者”、個の力を必要とする社会

3月1日より、2018年の新卒採用へ向けた就職活動が解禁されます。事前に行われた、大学生の就職企業人気ランキングでは、例年通り大手企業を中心に名だたる企業が上位にランクインしています。また、公益財団法人生命保険文化センターが全国の高校生3,153人を対象とした実施調査によると将来就きたい職業は、男子は公務員(15.2%)、女子は保育士・幼稚園教諭(18.9%)が最も多い結果となりました(2017年2月27日の日本経済新聞より引用)。

この結果からもお分かりの通り、年々若者世代の安定志向は上昇傾向にあり、就職先は大企業や公務員といった公職を求め希望する人が増加しつつあります。

しかし、本当に世の中は安定した企業ばかりが社会から必要とされ、そこで働く社員は充実した生活を送っているのでしょうか?結論から言えば、答えは「No」だと考えます。確かに、一昔前までは安定した企業へ就職し、脇目も振らずその企業で一生を終えることだけを考え、「長時間労働=正しい姿であり、高い評価を得られる風土」を良しとし、事実高度経済成長を成し遂げたことで、否定する余地はありませんでした。

では何故、現代・これからの未来では安定した企業で一生を終え、長時間労働による高い評価を求めてはいけないのでしょうか?政府が推進している働き方改革実現へ向けた時流を踏まえ、個々の力の必要性を考察していきたいと思います。

 

企業は一生面倒を見ている余裕がなくなった

1つ目の理由に、企業の成長速度の停滞が挙げられます。戦後の日本経済は、アメリカというモデルケースが既に存在する状況であり、アメリカが辿ってきた成長戦略の道を歩みながら”アメリカを追いつき追い越せ”というスローガンの基、長時間労働や男女不均衡な労働スタイルを日本経済の成長戦略の要として容認し、国民に求めるようになりました。

しかし、高度経済成長期以降、日本の中ではモデルケースとなる国が存在しなくなったが、自国で新しい指針を指し示すことはせず従来の働き方を惰性で続けてしまったために、現在でも長時間労働の風土が消えず、女性が一度退職すると社会復帰が困難となる現代社会が築かれました。それでも、国が継続して成長していれば問題はなかったのでしょうが、現在の日本のGDP成長率は0.51%程度(2016年)。高度経済成長期の象徴でもあった預金金利も、今や0.001%とかつての栄華を見る影もありません。

国の成長が鈍化しているということは、企業の成長も鈍化しているということと同義です。それを証拠に、近年ではSHARP・東芝といった有名企業も経営悪化によりSHARPは海外企業に買収、東芝は東証1部から2部への降格も秒読みといった状況です。

自分の会社はそんな心配はない、と感じている方もいらっしゃるかもしれませんが、時流を考えるともはや企業が全社員の将来を保障し、労働を提供できる時代は幕を閉じつつあります。それを証拠に、企業の退職金の平均額(大卒)も平成14年の2,499万円→平成24年1,941万円と年々減少傾向にあります。

 

多品種少量生産・高付加価値の時代へ

2つ目の理由は、生産・消費の関連性と物への価値観の変化にあります。昔は少ない品種を大量生産する力が求められていました。消費者も物のない時代から、欲しい物が溢れる時代となり、大量に物を必要としましたが、誰もが持っている物で十分に満足できていたのです。何故なら、何もない時代から物が溢れる時代となっただけで、生活水準は著しく向上しました。何時間もかけてやっていた洗濯・掃除も、洗濯機や掃除機の登場により家事にかける時間が短縮できたのが一例です。

しかし、現代は欲しい物が既に溢れている時代です。真新しい製品が登場したとしてもそれは”革新的な製品”ではなく、”進歩した製品”であることが多い現代。また、消費者も色々な物や情報に触れる機会が増え、誰もが持っている物ではなく、オリジナリティのあるユニークな物を求めるようになり、多品種少量生産が求められるようになりました。

同時に、企業メッセージやスローガンを加えることで、単なる物ではなく価格以上に価値のある存在として社会から認知されるようになりました。(例:ボルビック社は「1L for 10L (ワンリッター フォー テンリッター)」プログラムを始動、期間中のすべてのボルヴィック商品の売り上げの一部がユニセフに寄付され、マリ共和国でユニセフが実施する水プロジェクトを支援し、子どもたちとコミュニティが清潔で安全な水へアクセスできる取組みを実施していました。)

 

個のチカラを育てる社会へ

全社員の一生を保障できなくなってきた企業。閑職へ異動させられるならまだしも、「もう明日から来なくても良いからね」と肩を叩かれる40代〜50代の社員も今後増えてくるのではないでしょうか。仮に解雇となった場合、家庭を守るために別の企業へ再就職しなければなりませんが、自分の武器がないまま再就職先を探すのは益々厳しくなります。

日本人は1つの企業の中で通用するスキルだけを磨きがちではありますが、どこで働こうと0→1を生み出すスキルがあるか、そこにこれからの時代を生き抜くカギが隠されています。

政府は働き方改革を実現するにあたり、働く時間や場所の制約を受けない自由な働き方が求められています。働き手は時間あたりの生産性を向上させ、特定の分野のプロになるべく自身の能力を伸ばす。それを企業が後押しをする社会が必要なのではないでしょうか。

大企業に入れば一生安泰、そんな時代はとうに終わりました。企業から解雇されたとき、何も武器を持たずに戦場で戦い続けることができるか、未来を見据えて行動していきましょう

 

受付システムACALL−2