2017.02.22

味の素は何故労働時間短縮を実現できたのか


労働時間短縮による賃金の引き上げ

味の素株式会社(以下、味の素)は、2月20日(月)に働き方改革の一環として、正社員の1日の所定労働時間を7時間にする目標を、2年前倒しして2018年度に達成させることで労使が合意したことを明らかにしました。2016年春に、2017年度を目標に従来の7時間35分から7時間15分へ20分短縮することを発表しましたが、更に15分短い7時間への短縮と、段階的に労働時間の短縮実現へ向け、速度を上げて取り組む姿勢を表しました

1日の所定労働時間が8時間とする企業が多い中、味の素は他企業に先駆けて7時間を実現するという高い目標を掲げたこととなります。もちろん、労働時間が短縮されるのは社員にとっては喜ばしいことではありますが、同時に今までの労働時間内で完遂していた仕事の成果をそのまま(それ以上)求められることとなります

つまり”労働生産性を如何に高めるか”、企業単位での取組みも必要ではありますが、同時に一人一人の意識改革が求められます。

労働生産性を高める具体的な取組みとして、味の素では「働き方計画表」という社内ツールを各職場で利用し、社員が残業時間や有給取得日などを計画し、上司や同僚とそれを共有することによって、職場の「見える化」を図っているようです。目標を見える化する取組みは、カルビーと同様ですね。成長する企業が如何に透明性を求めているか、良くわかります。(宜しければこちらの記事もご参照下さい。”カルビーから学ぶ 働き方改革を成功させる3つのキーワード”)

 

働き方改革がもたらす恩恵

所定労働時間の短縮に加え、味の素では残業時間の削減にも取り組んでおられます。味の素では最終退館時刻を定めており、本社の場合は特別な申請をしない限り、20時で強制的に退館となるようです。「20時に強制退館」ということを社員に意識付けさせ、それまでにどうやって仕事を終わらせたらよいか創意工夫する状態を作り出し、良い意味での緊張感を保ちつつダラダラ残業を防ぐことで、大きく残業時間を削減できたようです。

労働時間と残業時間の改善を図ることで結果的に、17年度から月給を一律1万円引き上げるベースアップ(ベア)も実施することを決定しました。中には残業時間が減少したことで年収が減るのでは社員の方もいらっしゃるかもしれませんが、ベアは賞与や退職金に反映されるため、ある程度の賃上げ効果は見込まれます。

また、その時間を自己啓発に当てたり、好きなスポーツをする時間や映画・音楽鑑賞の時間に使えたりできます。労働時間は、所詮1日の3割程度の時間に過ぎません。睡眠時間も含め、残り7割の時間を如何に有意義な時間にするかで、長い目で見た時の人生の幸福感は違ってくると思います。

 

多様な人財に門戸を開く

では、何故味の素は働き方改革を実行するのでしょうか?その理由の一つに、ダイバーシティ(多様性)のある人財を必要としていることが挙げられます。昭和時代では、企業が成長するためには長時間労働が必要であろうと考えられてきました。そして労働生産性ではなく”どれだけ長い時間働いたか”、つまり労働時間が成果の価値として認知されてきましたが、それでは育児や介護等により労働時間の制約が生じる社員は正当な評価を受けられず、結果的に長時間働く社員が高評価を得やすいという悪循環が、今も継承されている企業が多く存在するのではないでしょうか。

しかし、味の素は今後の労働人口の減少、大量生産時代から付加価値創造時代への変革と、時流を鑑みて、時間あたりの労働生産性の向上に関わる取組みを2013年より開始しております。今回の所定労働時間の短縮も含め、他企業に先駆けた先進的な取組みにより、多様な人財を確保しやすい環境を提供することが狙いかと思われます。

 

まとめ

所定労働時間の短縮による恩恵は社員並びにその家族にも得られるという喜ばしいものではありますが、同時に企業として今までと同じレベルで社会からの期待に答えていく必要もあります。道のりは険しいかと思われますが、ゼロベースで”これから求められる働き方とはどういうものか?”思考を巡らし実現していく企業が増えることを願っています。

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